
行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:銀行預金などの遺産相続手続き全般。
経歴:開業以来17年間、相続手続きの代行業務を全国対応で行ってます。
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銀行に口座を持っている人が亡くなれば、
亡くなった人の銀行口座は自動的に凍結されると思う人もいますが、
実は、そうではありません。
銀行に口座を持っている人が亡くなったとしても、
銀行がその事実を知らない限り、
亡くなった人の口座が凍結されることはないのです。
そのため、親族などが銀行に対して何も連絡しないで、
亡くなった人の銀行口座から、預貯金を引き出すといったことも、
キャッシュカードの暗証番号を知っていれば可能なのです。
ただし、本来は、銀行に口座を持っている人が亡くなれば、
速やかに、その事実を銀行に対して知らせるべきことです。
それを隠して、
亡くなった人の口座から出金するのは、
後々大問題になることがあります。
なぜなら、銀行に口座を持っている人が亡くなった時点で、
亡くなった人の口座の凍結の有無にかかわらず、
その口座の預貯金は、相続人全員の共有物だからです。
つまり、共有物ということは、相続人全員の同意が無ければ、
相続人の誰か1人が出金をして、
預貯金を何かに使うということは、してはいけないことだからです。
そのため、たとえ亡くなった人の銀行口座の、
キャッシュカードの暗証番号を知っていたとしても、
亡くなってからは、出金などするべきではありません。
手順通り、亡くなったことを銀行の支店に知らせて、
口座を凍結し、相続人全員で相続手続きをした上で、
口座を解約するという流れが、本来の流れになります。
では、亡くなった人の銀行の口座凍結の方法ですが、
まずは、亡くなった人の口座のある銀行に対して、
亡くなった事実を伝えることです。
亡くなった事実を伝える方法としては、
電話でも良いですし、支店の窓口に行って、
支店担当者に伝える方法でもかまいません。
そして、普通は、亡くなった人の相続人や、
その親族から、銀行に対して伝えるべきものなのですが、
第三者であっても、亡くなった事実を証明できればかまいません。
ただ、銀行に口座を持っている人が亡くなったことを、
銀行に伝えるだけで、
その口座は凍結されるのかと言えば、そうではありません。
もし、亡くなった事実を銀行に伝えるだけで、口座が凍結されてしまえば、
事実でなかった場合にも、
銀行の口座が凍結されることになってしまうからです。
そのため、銀行に対して、
亡くなったことを伝える時には、亡くなった事実と、
亡くなった人の生年月日や、口座番号、住所などの確認がされます。
それらすべてに間違いがないと、
その銀行の担当者が判断できた時点で、
口座が凍結されることになるのです。
なお、ここで注意が必要なのが、
亡くなった人が口座を持っている銀行ごとに、
亡くなった事実を伝える作業をしなければならないことです。
つまり、亡くなった人が、ゆうちょ銀行、三菱東京UFJ銀行、
三井住友銀行、みずほ銀行のように4つの銀行口座を持っていれば、
4つの銀行それぞれに対して、亡くなった事実を伝える必要があるわけです。
ただし、同じ銀行なら、いくつか支店の異なる口座を持っていたとしても、
その内の1つの支店に対して、 亡くなった事実などを伝えることで、
その銀行の口座はすべて凍結されます。
以後、亡くなった人の相続人が、
口座凍結解除の手続き(相続手続き)をしない限り、
いつまでも、誰も入出金をすることができなくなります。
もちろん、キャッシュカードの暗証番号を知っていたとしても、
亡くなった人の口座が凍結された時点からは、
預貯金を引き出すことはできなくなるのです。
以下、各銀行の相続手続きについて
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