この記事の監修者
行政書士 寺岡孝幸の顔写真

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:銀行預金などの遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きの代行業務を全国対応で行ってます。
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出生から死亡での戸籍とは、亡くなった方のいくつかの原戸籍(はらこせき)と、
いくつかの除籍謄本(じょせきとうほん)、
そして、戸籍謄本のすべての戸籍の謄本類のことです。

そのため、1つの戸籍に出生から死亡までの記載があるわけではなく、
亡くなった方の戸籍が1つあれば良いというわけでもありません。

出生から死亡までの戸籍は、亡くなった方の銀行預金や株、
不動産(土地や家屋)などの相続手続きでかならず必要とされており、
出生から死亡までの戸籍謄本等や除籍謄本等とも呼ばれることがあります。

まず、出生から死亡までの戸籍の内、原戸籍(はらこせき)は、
正式名称は改製原戸籍(かいせいはらこせき)と呼ばれる戸籍で、
過去の法改正など、戸籍の様式変更のたびに作成された戸籍のことです。

そのため、亡くなった方が昭和生まれや大正生まれの方であれば、
少なくとも3~4種類ほどの原戸籍が存在していることになります。

次に、出生から死亡までの戸籍の内、除籍謄本(じょせきとうほん)は、
亡くなった方の生前の婚姻や離婚、転籍の数だけ存在している戸籍となります。

そのため、亡くなった方が婚姻、離婚、転籍のぞれぞれの回数が多ければ多いほど、
除籍謄本の数も多くなっていると言えるのです。

そして、亡くなった方の最後の戸籍謄本(現在の戸籍謄本)も、
出生から死亡までの戸籍に含まれます。

つまり、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍については、
人によって戸籍の数が違ってきますが、
亡くなった方の生前の状況によって数通~十数通存在していると言えるのです。

出生から死亡までの戸籍(原戸籍、除籍謄本、戸籍謄本)は、
亡くなった方の銀行預金や株、保険、共済、不動産(土地や家屋)の相続手続きだけでなく、
遺言書がある場合は遺言書の検認手続きなどでも必ず提出を求められます。

なぜなら、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍によって、
亡くなった方の相続人が誰々になるのかということが、
銀行などの第三者にも正確にわかるからです。

「私は亡くなった人の相続人です」と口頭でいくら言っても、
銀行などの第三者に証明することは困難です。

しかし、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等があれば、
役所の印が押されていて、役所が発行した書面のため、
戸籍の内容から、亡くなった方の相続人であることを証明することが可能になるわけです。

逆に言えば、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等がすべてそろっていないと、
亡くなった方の相続人全員を確定できないため、
亡くなった方の銀行預金の相続も、株の相続も、不動産の相続も何もできないことになります。

もし、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等の内、
1つでも不足分があれば、
相続手続き先から何度でも再提出を求められることになるのです。

出生から死亡までの戸籍というのは、1つや2つではないため、
いくつもの原戸籍や除籍謄本、戸籍謄本の取得が必要になる関係上、
それぞれの戸籍の内容をしっかりと理解できていないと、そろえることは難しいと言えます。

そして、亡くなった方の銀行預金や株、不動産などのそれぞれの相続手続き先では、
亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本等だけでなく、
相続人全員の戸籍謄本についても必要になることに注意が必要です。

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また、亡くなった方の亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と、
相続人全員の戸籍謄本については、
コピーではだめで、すべて原本を提出する必要があります。

たとえば、亡くなった方の銀行預金の口座がいくつかの銀行にあった場合、
それぞれの銀行に対して、
出生から死亡までの戸籍謄本等の原本を提出しなければならないということです。

ただ、銀行や証券会社でしたら、
提出したすべての戸籍の原本を戻してほしい旨を伝えることで、
後日になることが多いですが、戸籍の原本を戻してもらうことは可能です。

そのため、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等の原本が、
1部(1セット)しかない場合は、それぞれの相続手続きを順番に行い、
その都度、戸籍謄本等の原本を戻してもらう流れになります。

しかし、1つ1つの相続手続きを順番に行って、
それぞれの相続手続き先で戸籍の原本を戻してもらう方法は、
非常に手間と時間がかかることになります。

そこで、相続手続き先ごとに戸籍の原本を戻してもらう手間と時間を解決するため、
現在では、法定相続情報証明制度を、
利用することができるようになっているのです。

法定相続情報証明制度を利用する場合、
まず、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等の原本や、
相続人全員の戸籍謄本等の原本を1部(1セット)、
つまり、相続手続きに必要な戸籍謄本等をそろえることは同じです。

相続手続きに必要な戸籍謄本等の原本1部(1セット)をそろえた後、
法定相続情報一覧図の交付申出書などの手続き書類と一緒に法務局に提出することで、
あなたが希望する通数分の法定相続情報一覧図の写しが法務局から発行されます。

そして、法務局から発行された法定相続情報一覧図の写し1通は、
相続手続きに必要な戸籍謄本等の原本1セットに代わるものとして、
それぞれの相続手続き先に提出することができるのです。

つまり、相続手続き先が数ヶ所あった場合、
法定相続情報証明制度を利用して、法定相続情報一覧図の写しを数ヶ所分取得すれば、
戸籍謄本等の原本を数か所分、2セット、3セットと用意する必要がなくなり、
戸籍謄本等の原本を手続き先ごとに毎回戻してもらうという手間もなく、
それぞれの相続手続きを同時に行うことができるということです。

ただ、法定相続情報証明制度を利用する場合でも、
相続手続きに必要な戸籍謄本等(亡くなった方と相続人全員の戸籍謄本等)1セットを、
最初に抜かりなく役所からすべて取得して、法務局に提出する必要があります。

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