最新更新日付 2024年11月1日
『相続手続きは自分でできる?』
『相続手続きを自分でするにはどうすれば良い?』
と思われている人も多いのではないでしょうか?
そこで、相続手続きは自分でできるのかどうかと、
相続手続きを自分でする場合の具体的な方法について、
実際に相続手続き業務を行っている行政書士が解説いたします。
行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:相続関連手続き全般。
経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行っています。
行政書士のプロフィールはこちら
この記事を閲覧することで、
相続手続きを自分でする方法(手順)がわかります。
相続手続きは自分でできる?
相続手続きは、基本的に自分でできる手続きです。
なぜなら、何か特殊な技術が必要というわけではないため、
手間と時間さえかければ、自分でもできるからです。
もちろん、人によって元々ある知識や行動力、
被相続人(亡くなった人)との相続関係が異なるため、
相続完了までにかかる手間と時間は、人により大きく異なります。
ただ、被相続人が父または母の場合で、
養子や異父母兄弟姉妹がいるような複雑なケースでなければ、
自分でもなんとかできる手続きだからです。
しかし、被相続人の兄弟姉妹や甥姪が相続人になるケースでは、
必要な戸籍謄本類の取得と相続人の調査が一気に難しくなり、
遺産分割協議や遺産分割協議書の作成なども含めて、
自分だけの力で全て行うには、ハードルが非常に高くなります。
また、やみくもに自分で進めてみても、
相続人が他にもいたり、必要な戸籍が足りないなど、
相続手続き書類の不備不足で、手戻りの可能性も高くなります。
銀行預金や株、不動産などの相続手続きでは、
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類と、
相続人の戸籍謄本類に不足があれば、相続手続きは完了できません。
また、相続人が複数で遺言書が無い場合には、
相続手続き書面 または 遺産分割協議書に、
相続人全員の署名と実印(印鑑証明書付き)が必要となり、
自分1人の意思だけではできないことにも注意が必要です。
そのため、相続手続きを自分(本人)で行う場合には、
特に、最初に行う相続人の調査確定(戸籍謄本類の取得)を、
正確に行う事が肝心で、後々すべてやり直しにならないように、
手順通りに進めることが大切なのです。
相続手続きを自分でする方法
相続手続きを自分でする場合には、
次の1~7の順番で進めるのが基本です。
- 相続手続きの全体の流れと期限の確認
- 相続財産の調査と、遺言書の有無を確認
- 相続人の調査確定(被相続人と相続人の戸籍謄本類を取得)
- 必要なら、「法定相続情報一覧図の写し」を取得
- 相続人が複数で遺言書が無い場合は、遺産分割の協議
- 必要なら、遺産分割協議書の作成
- 銀行預金、株・投資信託、不動産などの相続手続き
それでは1つずつ解説していきます。
1.相続手続き全体の流れと期限の確認
相続手続きを自分でする場合、
相続手続き全体の流れと期限を正確に知っておく必要があります。
内容 | 期限 | 手続き先 |
死亡届 | 死亡後7日以内 | 市区町村役場 |
遺言書の有無・相続財産・相続人の調査 | この結果によって相続放棄や限定承認を判断するため、できれば3ヶ月以内 | |
遺産分割の協議 | 遺言書が無くて法定相続人が複数の場合 | |
2.相続財産の調査と、遺言書の有無を確認
まず、故人の机の引き出しなどを中心に、
遺言書が残されていないか確認することが大事です。
なぜかというと、故人の遺言書がある場合と無い場合とでは、
その後の相続手続きの流れが大きく異なるからです。
遺言書の種類としては、本人が自筆で書いた自筆証書遺言書、
公証役場で作成する公正証書遺言書があります。
近年では、本人が自筆で書いた遺言書を、
法務局で保管するという制度もできています。
また、遺言書の有無の確認と同時に行うと良いのが、相続財産の調査です。
最初の段階で相続財産を効率よく、抜かりなく調査することで、
その後の相続手続きをスムーズに進めることが可能になるからです。
なお、相続財産として探すべきものについては、
「相続財産とは?相続財産になるものならない物」を参照下さい。
実際に相続財産を調査する方法については、
「亡くなった人の財産を調べる方法(財産調査)」で、
くわしく解説しています。