一身専属権(いっしんせんぞくけん)とは、
その人個人にしか存在しない権利のことです。

一身専属権のわかりやすい例としては、
その人個人が持つ運転免許や国家資格、親権者の地位などがあります。

これらの一身専属権は、相続財産には含まれず、
相続人に引き継がれることもありません。

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行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:相続関連手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行っています。
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民法第896条で定める「一身専属権」とは?

民法第896条では、被相続人の全ての財産上の権利・義務が、
原則、相続人に引き継がれるとされています。

しかし、民法第896条ただし書きで、
被相続人その人個人のみが持つ一身専属権については、
相続の対象にはならないとも定めています。

民法第896条(相続の一般的効力)

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索.「民法第896条 」. (参照 2023-4-3)

この民法第896条でいう「一身に専属したもの」とは、
亡くなった人にしか存在しない権利義務関係のことです。

つまり、亡くなった人にしか存在しない権利義務については、
相続人は引き継がないということです。

一身専属権は相続できる?

一身専属権は、本人の死亡によってすべて消滅するため、
相続や譲渡ができるものではありません。

一身専属権の具体例

一身専属権の具体例:運転免許、国家資格
(一身専属権の具体例:運転免許、国家資格)

一身専属権の具体例としては、次のような権利・義務があります。

  • 運転免許
  • 医師免許
  • 弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士などの国家資格
  • 委任契約に基づく委任者又は受任者の地位
  • 代理関係での本人又は代理人としての地位
  • 雇用契約上の労働者の地位
  • 組合契約上の組合員の地位
  • 親権者の地位
  • 生活保護受給権
  • 扶養請求権

なお、相続財産になるものならないものについては、
相続財産とは?相続財産になるものならない物」で、
くわしく解説しています。