被相続人(亡くなった人)が残した遺産を、
資産と債務の2つに分けた場合に、
資産になる財産のことを積極財産といいます。
逆に、債務になる財産のことを消極財産といいます。
このページでは、積極財産とは何かとその具体例について、
実際に相続手続き業務を行っている行政書士が解説致します。
行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:相続関連手続き全般。
経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行っています。
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積極財産とは?
被相続人の遺産を、資産と債務に大別した場合、
資産になる財産のことを積極財産といいますが、
わかりやすく言えば、プラスになる財産のことです。
たとえば、お金や不動産、動産、債権などで、
積極的にもらいたいと思える財産のことなので、
積極財産というのです。
積極財産の具体例
積極財産には具体的にどんなものがあるのかを、
①金融資産、②不動産、③不動産上の権利、④動産、
⑤死亡保険金、⑥知的財産、⑦債権、
⑧その他の8つに分類して一覧にしてみました。
亡くなった人の積極財産を探したり、
確認したりする際のチェックリストとしてご利用ください。
① 金融資産
- 現金
- 預貯金
- 出資金
- 株式
- 投資信託
- 仮想通貨
- 商品券
- プリペイドカード
- 小切手
- 国債
- 公債
- 社債
② 不動産
- 土地
- 建物(マンション含む)
③ 不動産上の権利
- 賃借権
- 借地権
- 借家権
- 地上権
- 抵当権
④ 動産
- 自動車
- バイク
- 宝石
- 金、銀、プラチナ
- 高級ブランド品(腕時計やバッグ)
- 宝飾品
- 絵画
- 骨とう品
- 美術品
- 機械、器具
- 家財道具
- 船
⑤ 死亡保険金
- 亡くなった人が受取人の死亡保険金
⑥ 知的財産
- 著作権
- 特許権
- 商標権
⑦ 債権
- 貸付金
- 売掛金
⑧ その他
- ゴルフ会員権
- 未収入金
- 売掛金
- 損害賠償請求権
- 電話加入権
- 事業用や農業用の財産
- 亡くなる前の3年以内に被相続人から贈与された財産
- その他
積極財産だけ承継することは可能?
積極財産(預貯金などプラスの財産)だけを承継して、
消極財産(借金などマイナスの財産)は承継しない、
ということはできません。
なぜなら、民法第896条で「相続人は、相続開始の時から、
被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と、
定められているからです。
ただ、限定承認という言葉でよく間違われる方がおりますが、
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き受ける、
というのが限定承認になります。
つまり、積極財産から消極財産を差し引いても、
積極財産の方がまだ多いという範囲内で、
消極財産を引き受けますよというのが限定承認なのです。
決して、財産を限定して承認するわけではないのでご注意下さい。
ここまで、積極財産(プラスの財産)についてまとめましたが、
消極財産(マイナスの財産)についても確認したいという方は、
「消極財産とは?消極財産の具体例」を参照ください。
なお、亡くなった人の相続財産の調べ方については、
「亡くなった人の財産を調べる方法(財産調査)」で、
具体的にくわしく解説しています。
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