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行政書士・土地家屋調査士 寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
保有資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:相続関連手続き全般。

経歴:開業以来17年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行っています。
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銀行で相続手続きをする場合には、通常、印鑑証明が必要になります。

ただ、遺言書がある場合とない場合、遺産分割協議書がある場合とない場合、
調停調書や審判書がある場合とで、
それぞれ誰の印鑑証明が必要になるのかに違いがあるのです。

また、提出する印鑑証明には使用期限がある場合とない場合があり、
印鑑証明の返却についても、
印鑑証明が返却される場合と返却されない場合があります。

銀行の相続に印鑑証明は必要?

銀行の相続で印鑑証明は必要になりますが、
遺言書や遺産分割協議書がある場合とない場合、調停調書や審判書がある場合によって、
誰の印鑑証明が必要になるのかが、次のように違ってきます。

亡くなった方の遺言書がある場合

  • 通常、遺言によって遺産の銀行預金を受け取る方(受遺者)の印鑑証明が必要

※受け取る方(受遺者)以外の相続人の印鑑証明は通常必要ありません。
※もし、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者の印鑑証明が必要になります。

亡くなった方の遺言書がない場合

(遺産分割協議書がある場合)

  • 通常、遺産分割協議書に添付している相続人全員の印鑑証明が必要

(遺産分割協議書がない場合)

  • 通常、法定相続人全員の印鑑証明が必要

※ただし、亡くなった方の預金が少額の場合は例外あり

家庭裁判所の調停調書や審判書がある場合

  • 通常、調停調書や審判書によって遺産の銀行預金を受け取る方の印鑑証明が必要

※ただし、調停調書や審判書の内容によっては他に必要な場合があるので、
手続き先に確認することが必要です。

なお、遺言書がない場合に、遺産分割協議書を銀行に提出すれば、
別途、相続人全員の印鑑証明を銀行に提出する必要はありません。

どういうことかと言えば、遺産分割協議書には、
通常、相続人全員の印鑑証明が添付されます。

そのため、相続人全員の印鑑証明付き遺産分割協議書が提出されれば、
銀行側としては、別途、相続人全員の印鑑証明を求めることはしないということです。

また、遺言書がなくて、遺産分割協議書も提出しない場合でも、
亡くなった方の預金が少額と判断された場合には、
代表相続人1名の印鑑証明のみで良い場合があります。

なぜなら、亡くなった人の預金が少額と判断された場合には、
代表相続人1人だけで相続手続きを完了させることができるからです。

ただ、この少額という判断は銀行によっても違ってきますが、
亡くなった人の預金がおおむね約50万円~100万円以下でしたら、
銀行の担当者に少額と判断されることが多いです。

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銀行の相続の印鑑証明の有効期限は?

印鑑証明は発行日からの有効期限があり、
銀行によってその期限が違っています。

たとえば、ある銀行では、
発行日から3カ月以内の印鑑証明と決まっていたり、
別の銀行では、6か月以内と決まっていたりするわけです。

そのため、印鑑証明の有効期限については、
相続手続き先の各銀行ごとに、
事前に確認しておく必要があるのです。

ちなみに、ゆうちょ銀行では6ヶ月以内の印鑑証明が必要となっています。

では、印鑑証明の有効期限が、
1日でも過ぎていれば、使用できないかと言えば、
かならずしもそうではありません。

有効期限が、数日程度過ぎている印鑑証明であれば、
手続き先の担当者から、「今回だけは」と言われてOKになることもあれば、
「再度、印鑑証明を取り直して下さい」と言われることもあります。

つまり、印鑑証明の有効期限については、
最終的には、その銀行が判断することで、
その銀行の決まりと判断に従う必要があるということです。

また、遺産分割協議書を銀行に提出する場合、
添付している印鑑証明が銀行の決めている印鑑証明の有効期限を過ぎていても、
特に問題になることはありません。

たとえば、遺産分割協議書を作成して相続人全員の印鑑証明を取得したのが、
5ヶ月前だったとします。

この場合、銀行が印鑑証明の有効期限を3ヶ月以内と決めていれば、
2ヶ月過ぎていることになります。

しかし、遺産分割協議書を作成する場合には、
通常、その遺産分割協議書を作成した前後に、
相続人全員の印鑑証明を添付するものです。

そのため、銀行側が決めている印鑑証明の有効期限を、
遺産分割協議書に添付している印鑑証明に適用しようとすると不具合が生じます。

そういった理由から、銀行側が決めている有効期限を、
数ヶ月、数年過ぎている印鑑証明であっても、
遺産分割協議書に添付しているものであれば良いということです。

ただし、代表相続人の印鑑証明についてのみは、
「別途、有効期限内のものを提出してほしい」、
という銀行もあるので注意が必要になります。

また、亡くなった人の預金が少額と判断された場合でも、
印鑑証明の有効期限については、
各銀行で決められた期限内のものを提出する必要があります。

銀行の相続で印鑑証明は返却される?

銀行の相続で、銀行に提出した印鑑証明が返却されるのかどうかですが、
返却される場合と、返却されない場合があります。

まず、返却される場合についてですが、
印鑑証明付きの遺産分割協議書を提出した場合は、
印鑑証明付きの遺産分割協議書はそのまま返却されます。

また、印鑑証明を提出した銀行の担当者に、
印鑑証明の原本の返却希望を伝えた場合には、
ほとんどの銀行では印鑑証明の原本を返却してもらえます。

逆に、印鑑証明を提出した銀行の担当者に、
印鑑証明の原本の返却希望を伝えていなければ、
そのまま銀行に取られることがあります。

ただ後日、印鑑証明の返却希望の旨を伝えれば、
通常は返却してもらえます。

しかし、銀行によっては、印鑑証明の返却に応じてもらえない銀行もありますので、
印鑑証明の返却については、事前に確認しておくと安心です。

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